2011年07月06日

小説/闇の奥「ザ・ビーチ」アレックス・ガーランド

バックパッカーのリチャードは、タイの安宿で隣り合った男から
秘密のビーチの地図を譲り受ける。しかし、男は自殺。
彼は、文明と観光の波に汚されていない楽園を夢見て旅立つが...


現代版「地獄の黙示録」、いや、そのもっと元ネタの「闇の奥」でありまして、同じ島の生活を描いた「蝿の王」とは少し違いますね。

大麻によるものであれ、地図を渡した男が、主人公の夢にまたは幻覚に現れて予言のようなものを託し続けるというところなどは、死者と生者の境界があいまいな南米文学の雰囲気も思いだしました。え?「ハムレット」もそうだって?そうでしたね。申し訳ありません、勉強不足です。
はじめのころの彼が出てくるタイミングが諸星大二郎の名作マンガ「マッドメン」の精霊マッドメンみたいでいいんです。
そのぶん後半の彼の扱いの軽さが残念でならないのですが...

未開の地に築かれた理想の「王国」は、長続きしません。
「王国」を保つ為にはなにかしらの秩序が必要だからです。
そういったところからも「理想」を具現化すると歪な物にしかなりませんね。
リーダー格のカップルが清潔感をかもしだしているのが余計に生臭いのです。
偽りの自由は常に、終末と血の臭いが隠されています。

主人公は心のどこかで王国に何かハプニングが起こる事を期待しながら過ごしています。
無意識に。
これは読者の心にもリンクしています。贅沢かもしれませんが、人は停滞を好まない。
退屈が人を動かし、退屈が国を滅ぼす。

暑くて、緩くて絵が浮かぶような素晴らしい物語ですが、
主人公の考えがもう少ししっかりしていた方が
もっと面白くなっていたと思います。
あと、クライマックスというか終わり方がちょっとショボいかな。
息切れしてますね。
どうせショボくさせるなら、おもいっきりショボくさせないと。

ちなみにデカプーの映画化は観てません。
主人公がモリモリなデカプーじゃないような気がするし、むりやりラブシーンを突っ込まれたというのを聞いたので、ちょっと観る気が失せてます。
観た人はまた、感想を聞かせて下さい。
posted by tom at 19:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 濁書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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