2015年01月31日

「穴」(1960・仏)

フランスで実際に起こった脱獄事件を元にした映画。

キング原作の「ショーシャンクの空」にを筆頭とする一連の脱獄もの。
中にはジム・ジャームッシュの「ダウンバイロー」のように「脱獄しよう」と言った次の場面でもう地下道を歩いている何じゃこりゃな作品もあるが、あれはあれで良い。
つまり脱獄は浪漫である。
規則正しい収監生活から僅かな綻びを見つけ、道を切り拓く。
半端ないカタルシスが押し寄せ気持ちが良い。
そして獄中生活が何故か楽しそうに見えるのは、学生生活にを思い出させるからだろう。(花輪和一の「刑務所の中」好き) カモメ眉で親指が欠損した男がリーダーとなって計画が淡々と進められて行く。
部屋にあるものからノコギリ、ツルハシを作る。男の手付きが職人のごとく無駄が無い。
個人的には以前務めていた会社で昇降盤で同じように指の先を落として短い職人のおっちゃんがいたことをを思い出して懐かしい気分になった。その淀み無い作業風景が何やら懐かしい。(実は彼、その事件の本当の脱獄囚だったりする)
脱獄方法はタイトル通り部屋の隅の床に「穴」を開けるのだが、開けてお終いというわけでなく
フロアとフロアの間に降りてそこから資材置き場に。
そこで即席の合鍵を作って施設間を繋ぐ地下道に、行き着いた部屋からさらに地下の下水道へ。
しかしその娑婆につながる下水道も水が通る隙間以外はコンクリートの大きな壁で厳重に塞がれており、
結果側面の薄い壁に穴を開けコンクリートを迂回する小さなトンネルを掘ることとなる。
勿論土と大きな石を掻いて人が通るぐらいの穴を掘るのだからすぐには貫通する訳が無い。
毎晩交代で通って作業をする。
床の穴をどう隠すか、巡回をどう誤魔化すか、作業時間はどうやって計る?
映画は音楽もなく終わり近くまで脱獄作業が淡々と映し出される。
監獄、暗闇と狭く圧迫されるような場所ばかりで物語られるので、男達が顔を付き合わせている場面ばかり。
しかしそれが面白い。
男達の連帯感、完璧な計画に「穴」があくのはやはり異性の介入。(カトリーヌ・スパークだったのか!)
この原作を書いたのは青春映画(の名作「冒険者たち」オッサン達が主人公でも青春もの)を書いたジョゼ・ジョバンニ。
ラストでドラマをどんっと持ってきて苦味も効かせた。
posted by tom at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | Film | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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