2016年12月24日

『コングレス未来学会議』(2015仏イスラエル他)

女優ロビン・ライトは、映画会社から最後のオファーとして「女優ロビン・ライト全てのスキャン」を依頼される。配給会社ミラマウントはスキャンしたデータで新作映画を撮り続け、役者本人は私生活も含めて今後一切演技をしないという条件で自由な生活を手にいれる。難病の子供がいるロビンはオファーを引き受けたのだが...。 ポーランド稀代の天才作家スタニスワフ・レムの「泰平ヨン」シリーズからの映画化です。 役者としてのプライドに関わる選択ながら、これまでの半生にしてきた事を引き合いに出されては逃げることも反抗する事も出来ず、自分の分身であるデータが意に反する作品などに使用されないよう最低限の条件を付けて契約。 物語は更に二十年後の世界へ。映画界のロビンはアクションファンタジーのヒロインとして大ヒット、ふたたびの脚光をあびる存在に。一方年老いた実在のロビンには、「アニメしか滞在できない都市」で開催される未来学会議の招待状が送られ、映画会社からさらなるオファーを受ける。>それは、薬の成分として彼女を売ること。その薬を飲めば夢や幻覚のパートナーとして憧れのスターを召喚出来、あるいはスターそのものにもなれるという代物だった。 ...ストーリーの説明が困難になってきましたので、やめます。 「アニメしか滞在できない都市」の描写ですが、都市にはいる一本道の検問所で薬を飲まされ、全ての風景がアニメーションに変わっていきます。「ベティーブープ」時のフライシャータッチで乗り物から何から全てにキュートな表情が付いています。しかしキュートかというとBGMも相まって逆にグロテスクな雰囲気ばかりが醸し出されるのです。主人公ロビンもオメメパッチリの老婆になり物語が進んでいき、このアニメキャラクターのままベッドシーンまであります。やはり綺麗というより醜悪に感じます。 このあと物語は、さらに二転三転し、人の娯楽に対しての飽くなき欲求に対しての痛烈な皮肉を込めたものになっています。日常生活と娯楽とのバランスがとれなくなった未来世界の話ですが、ネトゲやSNSの廃人に置き換えて観ても良いでしょう。自分ではない誰かになったり、理想を追い求めすぎたり、手軽に優越感を味わえたり。「本の虫」と言われていた人たちも同じことです。 映画では貧富の差からくる不満を隠蔽するために貧民層をターゲットにしてプログラムを普及させているという説明もあり、これも現在の各国で見受けられる事象ですね。 主人公のロビン・ライトが輝いていた作品として個人的にお気に入りだった(原作の方がもっと大好き)「プリンセスブライドストーリー」の名が何度も出てくるのが嬉しかったです。 全体の感想として、レムの小説を読んでないのでなんなんですが、実在の女優を主人公に持ってくるのは非常に良いと思いました。原作では独身貴族のヨンが主人公ですからおそらく親子の愛がどうのこうのは無いと思います。映画はオリジナルで盛り込み、その分ドラマチックになった反面、欲張りすぎて中途半端にもなりました。 「平成たぬき合戦ぽんぽこ」を思い出すゲップのでるような悪い盛り込み感でした。
posted by tom at 13:03| Comment(0) | TrackBack(0) | Film | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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